2012年6月30日土曜日

―三天二地―

_易経では「三天二地」という考え方があり、なぜ天が三で地が
二なのかは諸説ある。
 一つは、天を一とし地を二とするが、天は地も含まれるので、
一と二を足して三にしたというもの。もう一つは、天は円形で表
され、円周は直径の三倍(昔は円周率を三としていた)なので天
は三とし、地は方形で表され、正方形の周囲は、一辺の四倍だが、
長方形は異なる二辺を足したものの二倍なので、地を二としたと
いうもの。しかし、どちらにも人についての数値が示されていな
い。
 私は、天を三次元とし、地を二次元、人は天と地の間にある一
つの点にすぎないのではないかと思う。そして、四次元を表すた
め、時間は以下の循環にあり、これとは別に三つの陰陽の組み合
わせで季節(以降で説明する)を表し、それを母子父との組み合
わせで六十四卦にしたのではないかと解釈している。

天が3 地が2 人が1
凸が「+」 凹が「-」
地と人を優先して計算する。
天と地が同じ記号なら割り算になる。

  天 地 人       天地人
 +3
- (2 + 1) = +0  凸凹凸
 +3 / (2 + 1) = +1  凸凸凸
 +3
- (2 - 1) = +2   凸凹凹
 +3 / (2
- 1) = +3   凸凸凹

 
-3 + (2 + 1) = -0    凹凸凸
 
-3 / (2 + 1) = -1    凹凹凸
 
-3 + (2 - 1) = -2    凹凸凹
 
-3 / (2 - 1) = -3     凹凹凹

 これを、太陽の黄経上の位置が0度(二十四節気の春分)を起
点として、季節を割り振る。
 春は+0と-1、秋は+1と-0で季節の変わり目となり、夏は+2と+3
で気温の上昇を示し、冬は-2と-3で気温の低下を示す。すると以
下のような配置とグラフになる。

    春   夏   秋    冬   春
  天 凸 凸 凸 凸 凹 凹 凹 凹
  地 凹 凹 凸 凸 凸 凸 凹 凹
  人 凸 凹 凹 凸 凸 凹 凹 凸
    +0  +2  +3  +1  -0   -2   -3   -1

 +3 ↑           *
 +2 ↑      *
 +1 ↑                 *
  0 -*-----
*---------
  -1 ↓                                      *
  -2 ↓                            *
  -3 ↓                                 *


 母子父の循環
  →出入出(凸凹凸)→出入入(凸凹凹)→
  ↑                               ↓
入入出(凹凹凸)         出出入(凸凸凹)
   ↑                               ↓
入入入(凹凹凹)         出出出(凸凸凸)
   ↑                               ↓
  ←入出入(凹凸凹)←入出出(凹凸凸)←


―出入出―凸凹凸(¦|¦)
 母が「出」、子は「入」、父が「出」は、転機。
 新しい者が勝ち、状況が変化する。
 古い考えが通用しなくなり、混乱する。
 新産業の誕生。

―出入入―凸凹凹(¦||)
 母が「出」、子は「入」、父も「入」は、投資。
 主導権を握っていた方が譲り、新しい者が力を得る。
 新規参入。

―出出入―凸凸凹(¦¦|)
 母と子が「出」、父が「入」は、準備。
 状況を把握するため情報収集をしている。
 直接の争いはまだなく、様子を見ている。

―出出出―凸凸凸(¦¦¦)
 母も子も父も「出」は、安定。
 争いはなく、それぞれが共に利益を上げ、不満がない状態。
 何も変化がないので、発展もしづらい。
 マンネリになりやすい。

―入出出―凹凸凸(|¦¦)
 母は「入」、子が「出」、父も「出」は、回復。
 主導権を握っている方が勝ったが、損害が大きく利益が失われ
る。
 少しずつ正常になっていく。

―入出入―凹凸凹(|¦|)
 母は「入」、子が「出」、父が「入」は、継承。
 元の鞘(さや)に収まる。
 現状のまま、何も変わらない。

―入入入―凹凹凹(|||)
 母も子も父も「入」は、対抗。
 お互いに譲り合わない、綱引き状態。
 にらみ合いが続いて、解決の糸口が見つからない。

―入入出―凹凹凸(||¦)
 母と子が「入」、父が「出」は、停滞。
 争いは始まったが、どちらも譲らず、泥沼になっている。
 仲裁する者がなく混乱している。

2012年6月23日土曜日

―父の存在―

_次に生き物は、細胞分裂の増殖では同じ遺伝子しか受け継がな
いため、環境の変化に弱い。それに対応するために他の遺伝子を
もつ生き物との生殖活動をするようになり、父が現れる。だから
「母子父」の関係が成り立つ。
 父は環境の変化に強い子を産むための情報収集をする母のサポー
ト役となる。そして母は、父の集めた情報を分析して、多様な個
性のある子を創造する。その多様な個性のある子の中から、環境
に順応し母に対抗できる者だけが生き残る。
以上のことから老子易では、母が創始者の役割、子は新参者の
役割、父は母の協力者の役割をする。
 これを今でも続けているのが微生物のミジンコで、メスは環境
のいい場所に卵から孵化して現れ、単独で子を産み増やす。
(メスは卵の時から精子を体内に保存している)
産まれた子はすべてメス。ところが環境が悪くなりそうだとオ
スを産むようになり、産んだオスとの生殖により卵を産む。こう
して卵の状態で環境が良くなるのを待つ。


―母子父の関係―

 母―主導権を握っている強い勢力。創始者。情報分析。
 子―母を目指している弱い勢力。対抗馬。新参者。新しい思考。
 父―母と関係がある者。母の協力者。付き合っている者。情報
   収集。


―母子父の決め方―

 あなたは母か子のどちらになるか?
 あなたが有利な立場や最初に行動しているのであれば、あなた
が母。そうでなければ子になる。
 協力者や付き合っている者(父)がいるか?
 あなたの協力者や付き合っている者が関係している場合、あな
たは母になる。そして、協力者や付き合っている者が父になる。
 相手に協力者や付き合っている者(父)がいて、あなたが新参
者の場合、あなたが子になり、あなたと対立している者が母にな
る。
 あなたと相手の両方に協力者(父)がいて、どちらもはずせな
い場合は、2通りの母子父を調べて判断する。
 
 こうして決まった母子父の順番で、距離感をあらわす「入」と
「出」をあてはめてみる。

―入と出の考え方―

 「入」は、近い場所にいて関心をもち、影響力がある。凹でも
表記する。一般的な易では「陽(|)」。
 「出」は、遠い場所にいて無関心で自由に行動できる状態。凸
でも表記する。一般的な易では「陰(¦)」。
 このように、「入」と「出」は、一般的な易のイメージとは違
うので注意してほしい。
 ところで、どちらかが近い場所にいれば、相手も近い場所にい
ることになるが、相手は近くにいることを知らないこともある。
あるいは近くにはいたくない場合は「出」となる。これは遠い場
合も同じで、お互いに離れた場所にいても相手に近づこうとした
り、影響力があれば「入」となる。

2012年6月16日土曜日

―母・子の判断例―

_親の仕事を子が引き継ぐ世襲で考えてみる。
 まだ親が現役で働いているうちに子が同じ仕事をすると、親の
七光りがつきまとい老子易でみれば、母と子が一緒に居る「入入」
で冬の状態。
 このままだと共倒れになる。
 親が子を突き放して他で修行させ、それを子が受け入れて出れ
ば「入出」で秋になる。 
 子に経験という収穫が得られるだろう。
 親が引退して子のやることに口出しせず、知らん顔をして「出
出」になれば夏になり、親の七光りは消え、子は自ら困難を乗り
越えることで評価されるようになる。
 実力をつけた子が帰り、親とは違う新しい道を歩みだすと「出
入」で春になり、新しい時代を切り開くことになる。
 これを実践したのが画家のパブロ・ピカソだ。
 ピカソの父は画家で美術学校の教師をしていたが、ピカソが子
供の時、絵画の才能に気づき、父は画家を辞めてしまう。そして
ピカソは大人顔負けの写実的な絵画を描いたが、このまま大人に
なれば普通の画家にしかならない。そこでピカソは苦悩しながら
新しい画法を探し、今知られているキュ―ビズムにたどりついた。

 マンネリ化した恋愛で考えてみる。
 仮に主導権を握っているのを彼として、彼が母で、彼女が子と
する。
 彼が強引で、彼女が束縛されていると感じているのなら、母は
「入」で子は無理やりの「入」と考えられる。

―入入― 凹凹(||)
 母も子も「入」は、静で冬。
 母と子が同じ力を持ち、争っても勝敗がつかない。
 こう着状態。

 やはりマンネリになっていることがあらわれている。
 近くにいても話をせず、静かな冷戦状態ということだ。

 彼女が悩んでいるとしたら、
 彼女が彼の性格を理解できていないのなら、よく観察してみる
ことだ。必ず弱みが見つかるはずだ。
 もし彼の性格を理解していて、それを我慢できないのであれば、
今は別れの準備をする段階で、強引に別れようとしても無理だろ
う。そうすれば、いずれ別れるチャンスが訪れる。
 別れるのが嫌なら、話をして彼に自分の性格をよく理解しても
らうように努力することだ。

 彼が悩んでいるとしたら、
 自分は提案するだけにとどめ、決定権を彼女に譲ることだ。
 自分の提案が認めて欲しければ、自分の気持ちを素直に話し、
努力することになるだろう。弱みを見せる勇気も必要だ。
 彼女の決定したことに従うと、新たな発見があるかもしれない。

 このように季節からイメージされることを手がかりにして、現
状を知り、問題解決の方法を見つけだすのが老子易の基本だ。
 物事には順序があり、種からいきなり花は咲かない。

2012年6月9日土曜日

―老子易の考え方―

_老子易は自然に則っている。
 一般的な易では八卦の成り立ちを説明する時、父と母がいて子
が生まれることを前提としているが、本来、生き物は最初に単細
胞生物が現れ、これが母になり、細胞分裂で増殖するので、これ
が子になる。だから老子易ではまず「母子」の関係としてみる。
 母子は主従関係としても解釈できる。
 そして陰陽ではなく母子の距離感をあらわすため「入」と「出」
で考える。


―母子の関係―

 母―主導権を握っている者。
 子―主導権を握っている者に影響を受ける状態にある者。


―母子の決め方―

 自分が目標にされていると思えば母で、目標にしている人がい
るのなら子になる。


―入と出の考え方―

 「入」は、近い場所にいて関心をもち、影響力がある。凹でも
表記する。一般的な易では「陽(|)」。
 「出」は、遠い場所にいて無関心で自由に行動できる状態。凸
でも表記する。一般的な易では「陰(¦)」。
 このように、「入」と「出」は、一般的な易のイメージとは違
うので注意してほしい。
 ところで、どちらかが近い場所にいれば、相手も近い場所にい
ることになるが、相手は近くにいることを知らないこともある。
あるいは近くにはいたくない場合は「出」となる。これは遠い場
合も同じで、お互いに離れた場所にいても相手に近づこうとした
り、影響力があれば「入」となる。

―出入― 凸凹(¦|)
 母が「出」、子が「入」は、明で春。
 子が母を破る。
 新しい時代が訪れるが、しばらく混乱する。
 不安定な革命。

―出出― 凸凸(¦¦)
 母も子も「出」は動で夏。
 母も子もちょうど良い距離を保っている。
 争いがなく、お互いにのびのびできる。
 協力関係。

―入出― 凹凸(|¦)
 母が「入」、子が「出」は、暗で秋。
 母が強く、子が身を引く。
 混乱が収まり、正常化する。
 現状維持。

―入入― 凹凹(||)
 母も子も「入」は、静で冬。
 母と子が同じ力を持ち、争っても勝敗がつかない。
 こう着状態。


 母子の循環
 →出入(凸凹)→出出(凸凸)→
↑                   ↓
 ←入入(凹凹)←入出(凹凸)←